2012年6月6日水曜日

日本の没落

今般、日本の電機業界の株価の低落に歯止めがかからない。特にパナソニック、ソニー、シャープ、NECと家電系のメーカーは軒並み億単位の赤字を出しているが黒字転換の目途すら立っていない。

このことについて考えてみた。




戦後、日本の家電メーカーが世界を席巻し、アメリカの電機メーカーを次々と破綻へ導いていったことがある。それと同じことが日本と韓国の間に起きていて、次には中国だと思われる。これは時代の流れかもしれない。

振り返ってみるとパナソニックの松下、シャープの早川、パナソニックに吸収された三洋電機の井植も、ホンダの本田もほとんど学校へ行かなかった。ソニーの井深、盛田は大学を卒業したが、後に学歴不要論を表明して実行した。このように日本の戦後の高度成長は彼らの学歴にこだわらない革命児たちにより達成できたと考えている。

ここで、さらに振り返ると明治維新を切り開いた先人たちにより日本は苦労して一等国と言われるようになった。それを率いた明治の元勲たちが現役を退いてから日本は破綻への道を走った。それは明治に作られた西洋式学校制度が生んだ東条英機などいわゆる学校秀才たちの結果であったと思う。

東条英機がまだ青年将校のとき次のように語ったそうだ。「陸軍大将などの指導者は士官学校の優等生によって占められるべきだ。」 そして、徐々にその方向になり、結果的に国土を焦土にしてしまった。

第二次世界大戦で日本軍は兵隊は強いが、将校がバカばかりだと言われた。兵隊は教科書どおりにまじめに戦ったが、将校も学校の教科書どおりに戦争を指揮して裏をかかれたのだ。

敗戦とともに、それまでの価値観が吹き飛び、いわば天井が吹き飛んで青空が見える状態でみんなが走り出したので、若き事業者が次々と生まれたのだろう。

彼ら若き創業者が独創性を発揮し、大衆がそれに従った結果、高度成長が始まった。この指示通り一斉に動く国民は高度成長期は大変な強みだった。

年月が流れ1990年ごろから創業者たちは次々と引退し、代わりに学校秀才たちが経営の中枢に登場してきた。でも、強力な機関車に引っ張られていた特急列車は機関車がなくなると、残ったのは自分では動けない(=考えない)、客車ばかりだったのだ。

高度成長期は単純労働をこなす人が必要で、学校はそういう人を大量生産した。ところが時代は大きく変わった。パソコンが生まれ、途上国が先進国と変わらない生産性を示すようになった。知識が必要な仕事はパソコンがやってしまうし、単純労働は途上国に取られてしまう。でも学校はあいも変わらず、考えない人を大量生産し続けている。

明治の元老も昭和の盛田氏も次の世代に対し大きな不安を抱いていた。このままでは日本は滅びてしまうという不安だった。そしてそれは不幸なことに的中してしまったと思う。盛田氏は学歴社会が会社を滅ぼすと言い、学歴にこだわらない入社試験を試みたが、各大学から猛烈な抗議を受けて断念した。また現実問題として数千人もいる入社希望者を面接で決めることもできず、ペーパーテストと学歴でふるいをかけることになり学校秀才が優先的に入社した。その結果日本企業は前例踏襲と横並びで革命的商品は出なくなった。

なぜ学校秀才が企業を滅ぼすかという点について私の考えは、学校が持つ本質にあると思っている。そしてそれが私の息子を学校に行かせたくないという理由でもある。

基本的に学校は勉強をするところである。その勉強は横一線に並んで同じゴールを目指すという仕組みで行われる。そのため、極力子どもの独自性は排除される。仮に個人の独自性を許すとどうなるだろうか。

クラスに30人からいる生徒が独自の勉強をするという状況を想像すればよく分かる。国語の時間に体育をやりたいというのを許せるだろうか。どうあっても個人の自由な行動は否定される。つまり学校において独自性は否定されることになる。

ここで「我慢ができないと仕事に就いたとき困る」という反論をよく受ける。つまり社会には仕事は我慢するものだという常識がある。はたして仕事というものは我慢するものだろうか。

我慢をするということはやりにくいときでも自分のほうが仕組みにあわせることだと思う。これは秩序を支配する側にとっては都合がいい。
他方我慢しないということはやりにくいときは仕組みのほうを変えるために努力することだ。学校はその努力の仕方を教えればいいだろうと思う。

我慢する世代が経営陣に入れば、ほかの会社がやるから自分も作るのが当たり前になる。だからどの会社も似たり寄ったりの商品ばかりになる。なぜなら学校でも会社でも独自性を発揮することを許されなかったし、考えもしなかった人が経営者になったのだから当然といえる。

ソニー、パナソニックやシャープのテレビを見ても私には区別かつかない。会社名があればかろうじて判別できるが、それなしでは見分けられない。自然に価格競争になる。高くすれば売れない。安くすれば利益が出ない。こうなった理由は学校秀才が経営陣に陣取っているからだといえる。

これは業(ごう)である。どうあがいても直ることはない。私が大好きだったソニーはとうの昔(アイボを売り払ったとき)になくなっていたのだ。 

学校秀才という人たちを考えてみると、学校もしくは先生の言うこと、さらには内心考えていることまで先取りしてそれに適応してきた人たちである。こういう人は教科の内容をよく覚えて(理解していなくても)それをうまくテストで書ける人たちだ。学校の教えることに疑問を持ったらテストでよい成績は取れない。 

独自性は子どものときから困って、考えぬくことから生まれると私は思っている。そういう意味ではよい先生の言うことは分かりやすくて、得心が行くので子供たちは考えないでそのとおりやるだろう。それが問題なのだ。今の日本の問題につながるのだ。 

世界中の学校が大なり小なり同じ問題を抱えているが、日本は本質的に同調圧力の強い文化だから深刻で、これから多くの大企業や日本そのものが学校秀才に血を吸われて徐々に弱体化し解体されていくだろうと思われる。


私たちはやがて世界を相手にしなければ豊かな生活は望めない時代になる。学校へ行けば世間を渡るための知識を得るかもしれないが、そのとき世界ははるか先を走っているだろう。

9 件のコメント:

フォーミディブル さんのコメント...

こんにちは
素敵なブログを読ませていただき、ありがとうございます。

男の子二人をホームスクールで育ててきたものです。
(子ども達は、成人していますが。)

こちらの記事を、私のブログにコピーさせていただきたいと思います。
よろしくお願いします。

とうはん さんのコメント...

フォーミディブルさん、こんにちは。
初めてですよね。よろしくお願いします。

どうぞコピーなりご自由にお使いください。

すでにホームスクールで子育てされたようで、できればその経験などを投稿していただけるととても嬉しいです。私たちは今まさに子育て中で、多少なりと不安な部分もあります。いろいろと教えていただければありがたいと思います。
またブログを拝見したいのでアドレスを教えてください。

これからもよろしくお願いします。

Wisconsin Vegan Abolitionists さんのコメント...

相変わらず炸裂してますね。学校秀才とはとうはんさんの作った言葉ですか?私はうちの子にこれからのアメリカを担う人になってほしいとか期待していないから、秀才なんてならなくてもOK.我がままに自分の道を生きてちょって思ってます。もちろん大学に行かなくてもOK.

とうはん さんのコメント...

すみこさんの息子さんは秀才にはなれないと思いますね。だって、天才だから。

闇の支配者(?)にとっては学校で秀才を見つけて手なずけて手足として使うのが目的なんです。
天才は素直に言うことを聞かないから、余計なことを考えさせないように、プライドを傷つけて自信を喪失させようとしているとにらんでいます。--うがちすぎですか

息子さんは放っておけば自由に思うままに生きていくと思いますよ。

chibimikan71 さんのコメント...

おじゃまします。

とうはんの記事を読むと、気持ちが引き締まりますねえ。すみちゃんのつぶやきと、とうはんの記事の絶妙なバランスが大好きです^^

ついこの間、息子の友達のお姉ちゃん(9歳)とゆっくりお話しする機会があって、そこでの会話ら、学校がどんなふうに子供から考えるチャンスを奪っているかを垣間見た気がしました。
彼女:学校で、銃の話をしちゃいけないの。話をすると先生に怒られる。

私:どうして?話すだけでもいけないの?

彼女:先生から禁止されているから。

その後の話から、もちろん彼女は、話題にすることで銃を身近に感じたりしないようにとの大人たちの判断からきていることは理解しているようでしたが、やはり大人数のクラス、学校をコントロールするためには、こういう一辺倒の対策しか取れないことに学校の限界を感じずにはいられませんでしたね。これが家庭での教育だったら、危ないものをもたせたところで、正しい使い方をくり返し教える事が出来ますよね。

なぜ??と突っ込んで考えないようにしてしまっているのは本当にマズイですね。

フォーミディブル さんのコメント...

とうはんさん、みなさん。
私の名前、フォーミディブルをクリックしていただきますと、
リンクしていますので、お越しください。

なおURLは・・・
http://aoamanatu.blog.fc2.com/ です。

とうはん さんのコメント...

名前をクリックするとHPに飛ぶと言うことを知りませんでした。

拝見しましたが、医薬関連の記事が多く、読んでいるうちに考えさせられました。私も不登校になった子どもがカウンセラーや精神科に生かされることに不安を感じていました。がん治療もフォーミディブルさんの言うとおりだと思います。

よろしければ相互リンクを貼りませんか。

フォーミディブル さんのコメント...

とうはんさん、

読んでいただいてありがとうございます。

リンクの件よろしくお願いします。
当方、勝手気ままに書きなぐっていますので・・・(笑)
恐縮です。

Wisconsin Vegan Abolitionists さんのコメント...

フォーミディブルさんはじめまして。かわいいわんこちゃんですね。これからよろしくお願いいたします。