2017年10月28日土曜日

学校から目覚めるとき

メガバンクの一角であるみずほフィナンシャルグループが今後10年程度で国内外1万9000人の人員削減を検討していることが分かった。金融と情報技術(IT)を融合した金融サービス「フィンテック」の広がりで銀行以外の新興企業が台頭し、事業環境は厳しくなることを予想し、先に手を打ったところだ。(読売新聞より)
人員整理をしないことを約束して台湾、鴻海(ホンハイ)精密工業がシャープを買収したがその約束はあっさり反故にされ、すぐ黒字転換した。

大企業に入社しこれで定年まで安泰と考えていた正社員はいま何を考えているのだろうか。有名大学を卒業し、大企業で安定した人生設計を考えて、受験勉強に励んでいる人たちは考え直した方がいい。

零細企業のわが社も少なからぬ人を採用したが、大卒より高卒の方がよほど働くし、頼りになった。応募に来た人に何ができますかと聞くと「部長ならできます」と言われた時は、こんな人が本当にいるんだと呆れてしまった。入社しても大卒をひけらかす人に限って、ほとんど仕事の役に立たなかった。

大卒はほとんどが中大企業に入社するが、有名大学を卒業した人が各部署を転々として出世していくのが通例だ。だから昔から移動をしない高卒女子の方が現場知識が豊富で、数年で移動していく人はいわゆるお局さんに依存し、業務を理解しようともしない人が多い。そういう人がいずれ経営陣に入る。頭はいいが現場をきちんと理解していないから、机上の空論を振り回して現場が疲弊していく。
その結果が、日本の大企業の偽装につながっている。

前回も書いたが、彼ら学校では秀才で通した人たちである。遊びもしないで塾に通い、テストに好成績を上げて、先生からも親からも周囲からもちやほやされ、変なプライドばかり高いが、コミュニケーション能力はほとんどゼロだ。そういう人で日本の経済界は成り立っている。(原発産業もしかり)

しかし世界はITやAIで急展開をし始めている。2045年のシンギュラリティを待つまでもなく、仕事は次々とコンピュータに奪われ、二つの分野が残るだけになるだろう。

第一はコンピュータに指示する分野、第二ははコンピュータでは対応不可能の介護などの分野。そして第二の分野は次々なくなっている。最初に挙げた銀行も第二の分野である。少し遠いが第一の分野もいずれコンピュータに侵食されるようになるであろう。

英文の文書を読むのに苦労して、グーグルの翻訳ページ(無料)に入れてみたら、まっとうな日本語が一瞬で出てきた。2年前には原文を見比べないと意味不明な日本語だったが、昨日やらせて見たらほぼ完ぺきな日本語になっていて唖然とした。2年前はこれだけの翻訳を頼むと数万円していたのが0円、わずか2年で「隔世の感」である。科学関連文書に関しては翻訳業が成り立たなくなる日が見えてきた。英語の授業なぞ全く役に立たなくなってしまう。

第一分野の旗頭、ジョブズは大事なことは「情熱」と「想像力」だと言ったが、学校では情熱を持ては多動性障害と言われ、想像力は注意力散漫とみなされ、画一化の罠に落ちる。学校というシステムの指示通りに動かない子どもは排除され、指導死やいじめ、そしてその先のブラック企業や過労死につながっている。こうやって日本の子どもたちはスポイルされ自らの人生と、日本の未来を破壊しているのだ。

天動説を信じられていたころは、地動説を主張した人は火あぶりに刑に処せられ、物笑いの種になったが、今は地動説が常識である。学校が諸悪の根源であると言えば火あぶりに刑に処せられる時代ももうすぐ終わり、笑い話になる時代が来るだろう。

2017年10月27日金曜日

日本が劣化しているわけ

JAPAN CLASSという雑誌を書店で見るたびに悲しくなる。日本人はいつからこんなになってしまったのだろう。世界を見渡しても自分の国のことをこんなに自慢している雑誌は日本以外では見たこともない。雑誌だけでなくテレビもそのような番組を流しているようだ。幸か不幸かここ10数年、あまりのくだらなさでテレビを見なくなったのでよく知らないが、たまに出先で見るバラエティ番組を見ると吐き気がする。

日本の政治がひどいというのは何十年も言われてきたが、経済だけはよかったがここ10年ほどで完全に崩壊した。東電の原発事故、東芝の崩壊、シャープの買収、半導体の凋落、日産の買収、三菱自動車の不正、神戸製鋼の不正と数限りない。
官僚は何かあっても知らぬ存ぜぬばかりで何ら責任を取らない。
自民党は一強でだれも異論を唱えない。民進党もどっちを向いているかさっぱりわからない。挙句の果てに希望の党に合流して消えてしまった。詳細は選挙総括

私は何度も主張しているが、原因の多くは学校にあると思っている。

明治維新が起きてそれまでの幕藩体制が崩壊し、支配層が一掃され、若い人たちが飛び出してきた。彼らが新日本を切り開いていったが、70年ぐらいたつと勤皇の志士は鬼籍に入り、とってかわって学校秀才が政治経済軍部を支配し始め、それまで急成長していた日本は暴走し第二次世界大戦で焼け野原にするまで止まらなかった。ちなみに東条英機は陸軍士官学校で有史以来の超優秀で総代だったそうだ。(そんな優秀な奴が首相になって日本を焼け野原にしたんだ。)

戦後財閥解体などで支配層が一掃され新しい人たちが飛び出してきた。松下幸之助、本田宗一郎などは学歴もなく世界企業を築き上げた。しかし70年たつと彼らの多くは鬼籍に入り、そのあとは再び学校秀才が経済、政治の世界を牛耳るようになった。そしてバブルの崩壊後30年にわたり停滞し、世界第二位のGDPが今や一人当たりのGDPは世界の30位あたりでじりじりと下げ続けている。東芝、シャープ、ソニー、日産いずれも戦後50年を超えたころから不祥事や赤字の垂れ流しが常態であった。

つまり、明治維新も戦争も知らない世代が企業の経営者や官僚や政治家の頂点を極めるとお衰退を始めている。彼らに共通しているのは全員学校の秀才であるということである。

学校では先生の言うことを信じてそのまま答案用紙に書けば満点をもらえる。先生の覚えもいい。受験にも有利だろう。それに対し、先生の言うことや教科書に書いてあることに疑問を持っても時間は無駄だし、成績もよくない。質問を繰り返すと授業が進まないので先生から好まれない。

子どもには二つの選択肢しかない。
Aは先生の言うことをとりあえず信じて疑わないようにして好成績を上げる。
Bは先生に逆らい、授業に反抗する。その結果は先生から疎まれ、嫌われ、ほかの生徒からはいじめられる。その結果不登校か自殺に追いやられる。

Aはいい成績を上げ、いい学校を優秀な成績で卒業して、何の疑いもなく大企業か官庁に就職する。そして○○大学卒業という学歴で出世していく。
しかしいつも正解のある問題を解くことしか知らないので異常事態になると対応ができずに右往左往するだけで解決不能になることがある。福島第一原発事故の時の東電や官僚の対応を見ればよくわかる。

戦後経済の成長期はアメリカという正解が常に前にいたので、それをいかに早く取り入れるかだけ考えていけばよかった。アメリカもソ連という対抗軸があるときは日本のおんぶ抱っこを許していたが、それが崩壊すると日本を敵対視するようになった。

アメリカから突き放され日本は自分で自分の道を探さないといけなくなった。そのころ戦後復興期を支えてきた戦後創業経営者が引退する時期と重なってきた。入れ替わり登場したのが学校秀才の人たちである。

東芝は原発事業が東日本大震災の結果、失敗だと分かった時点で撤退すればここまでひどくならなかったはずだが、売り上げをごまかす道を選んだ。シャープも日産も三菱自動車も神戸製鋼も成績をごまかす道を選んで墓穴を掘った。学校成績至上主義に対し学生として勉強とカンニングのどちらが楽かという問題と同じである。

明治維新の改革は問題をごまかしてもどうにもならないということが分かっていた勤皇の志士の死に物狂いの文明開化であったし、戦後焼け野原の中で地に落ちた日本の経済を立て直すにはやはり死に物狂いの製品開発と世界への販路開拓だった。嘘をついたりごまかして何とかなるものではない。事実をもとに徹底的に顧客満足を求めた。その成果がソニーであり、ホンダである。
そうやって死に物狂いの努力の傍らで、日本の学校は成績至上主義で決まったことを決まった通りに覚えればそれで事足れりとしていた。そうやって少年時代を覚えることで成功体験を積み重ねて好成績を上げてきた人たちがいま日本の支配階層に陣取って日本を泥沼に引き込んでいる。

一方Bには成績不良として劣等感を植え付け、就職も出世も不利を強いられ、非正規雇用として低収入の泥沼にあえぐことになる。そこから抜け出すための努力の方法も知らない。

AやBの一部が自ら意識改革をして泥沼から抜け出すことができるが、日本の場合既存大企業の既得権が強すぎ、日本の未来を変えるほどの力を持てるものは少ない。

これで日本がよくなるはずがない。我々は先代が積み上げてきた資産の上で理屈をこねまわしているだけなのだ。その資産はあと20年ほどで食いつぶされ発展途上国に分類されるだろう。

これを解決するには学校を解体するしかない。近代になって、工場で人が並んで作業するとか、大勢の軍隊が戦うために意識改革するために学校を作った。今はオートメーション工場には人が数人しかいないし、軍はコンピュータで近代化されていて頭数がいても戦えない。命令一下そろって作業することもない。次の時代の仕事は高度な知識を駆使するか、誰でもできる単純作業しかない。

幼少時に特に大事なことはコミュニケーション能力だ。特に小学生の時は朝から晩まで友達と遊んでいたほうが力が付く。昔から子供は遊びを通して社会性や正義感、交渉力、創造力を育んできた。知識に関していえば小学校時代遊び惚けていた子が中学生になってから小学校の教科書を開いて勉強をしたら半年ですべて理解できたという実験結果もあるそうだ。

小学校は即刻なくし2歳から12歳まで保育園とすればいい。中学からはアクティブラーニングなどを活用し、さらに入学も退学も転校も自由、テストはすべて廃止すべき。そうすれば日本の子どもたちは地力があるから、世界有数の知的レベルにすぐ到達できるようになるだろう。
これからのAIの時代を豊かにするためには、強制は害悪にしかならない。

学校へ行くことで子どもたちは自信喪失になり自己を確立できず、それを何とか補償しようと自分の意識を日本にまで拡大し、日本最高ということで自信を持てない自分をごまかしているのだろう。確かに世界を回ると日本の安全や清潔さは世界でも有数だとは思うが、どの国にもいいところがあり、困ったところを抱えている。日本は世界でほぼ唯一経済力が低下している先進国で、先達が多少たくわえを作ってくれたのでかろうじて現状を維持しているだけだ。子どもの5人に一人が貧困児童と言われるようになった現実の厳しさを認識すべきである。

2017年10月25日水曜日

2017年総選挙総括

2017年夏安倍首相が支持率が落ちているのに突然解散すると言い出した。

もりかけ問題をうやむやにするためとか、北朝鮮との戦争に備えたのだろうとか諸説が飛び交ったが、自分の任期中に憲法を改正するために、安倍が前原と小池を巻き込み仕組んだ大芝居をうったと思っている。そうでなければつじつまが合わない。

前原が民進党の党首になったが党勢はじり貧で、小池が都知事選と都議選で勝利しているのを見て、安倍は今がチャンスだと閃いた。

憲法を改正するためには三分の二の国会議員の発議が必要である。自民党はほぼ自分の思い通りになる。問題は公明党だ。憲法改正に消極的で野党第一党との話し合いと同意が必要と主張している。そして公明党抜きでは憲法改正は成立しない。
前原も改憲に前向きだが、民進党の中には憲法を守ると言っている人が多いので党首といえども簡単には変えられない。そこで、安倍は前原をそそのかして民進党を希望の党に合流させることを考えた。

前原は小池の人気と民進党の組織力を使えば過半数はともかく100か200議席は取れると踏んで話に乗った。そうなると自公と対抗勢力になり、あわよくば自分にも首相の目があると考えた。小池も今人気があるうちに自分の兵隊を集めておけば今回過半数を取れなくてもいずれ可能性はあると判断した。

安倍は小池に民進党で改憲に反対している人たちを外して新党を作るように言った。民進党左派の人が多少落ちこぼれても、希望の党は野党第一党にはなれるだろう。そうすれば公明党も文句は言えまい。そのために自民党の議席が多少減っても構わないと考えた。そして前原と小池に次は君たちの番だとささやいた。(すべて想像です。念のため)

民進党が希望の党に合流するためには政権獲得の可能性をにおわせる必要がある。だから総会で全員が希望の党に行けるわけではないとは言えなかった。前原は全員が行けるようにするといったが、保証はしていなかった。そして民進党の総会では政権交代の可能性にかけて合流が決議された。

ここまでは阿部と前原と小池の描いた絵の通りに動いた。

そこで計算違いが起きた。まず、都民ファーストから二人が小池に反旗を翻して離党した。さらに小泉元首相に支援を頼んだがこれはあっさり断られた。少しずつ空気が変わり始めていた。それでも気分が高揚していた小池は「全員を受け入れる気はさらさらない」、「排除します」を言いきってしまった。ここで匂わせたり、思わせぶりに言っておけば希望の党は安倍の思惑通り野党第一党だったろう。
その結果、いわゆるリベラルの人たちは希望の党には行けなくなってしまった。そして追い込まれた枝野が窮余の策で新党「立憲民主党」を立ち上げる羽目になった。

慌てて作った政党が大きく議席を伸ばすなどとは誰一人想像もしなかった。念を入れて立憲民主党が立候補した選挙区に刺客として希望の候補者を送りこんだ。本気で政権奪取を考えているなら野党が競合して共倒れになってしまう。何考えているのかと思った。

同じころ前原は「想定通り」と言い切って悪びれた様子もなかった。「どうして昔の仲間が困っているのに平然としてられるのか」私はここでもおかしいと思った。今考えると前原はそれでも立憲民主党はせいぜい10人か20人しか当選しないだろう、希望の党は大勝利は難しくても野党第一党になれると踏んで、それでかまわないと高をくくっていたのだ。

これ以降は予想しなかった展開になった。たった一人で立ち上げた立憲民主党に旋風が起きてしまい、終わってみれば野党第一党になってしまった。

すっかり計算が狂った安倍は選挙開票で笑顔も出せなかった。前原も小池も完全に敗軍の将となり、すべての目算は胡散霧消してしまった。困った安倍は野党第一党にこだわらない、第二党、第三党、第四党と話し合うと言い、野党第一党の価値を薄めにかかっている。でも希望の党が勝っていたら野党第一党と話し合いをして粛々と改憲を進めますとにこやかに語っていたことだろうと思うと、笑える。
ことが国家の最高法規であるだけに公明党が納得するか、けだし見ものである。

この先、立憲民主党がさらに急成長することがあれば、公明党とは思想が近いので共同戦線を組むこともありうると思っている。