子どもを育てるとき、決して叱るまいと決めた。
理由はアリス・ミラーの「魂の殺人」を読んだからだ。
その本では親から虐待されると、その子は成人してから精神障害や倒錯、強迫神経症になりやすく、人から騙されやすくなると書いてあった。虐待された子どもは依存すべき親に虐待されたことを、親の愛情と解釈してその状況をごまかすようになる。というより、そうする以外の方法を知らない。つまり、親を絶対化して、自分らしい精神の発露を封じ、親の価値観に沿って生きるようになる。これを闇教育という。
しかし、人間というものは本来の自分を殺すと、その殺された自分は無意識の世界に封じ込まれ、後に沼のメタンガスのようにぼこ、ぼこっと浮いてくる。それが精神的症状であり、自分でもコントロールできない。そういった症状が犯罪、薬物中毒、売春、精神病、自殺といった形をとる。そのほとんどの原因が幼児期における闇教育だそうだ。
また強く主張する人に安易に従ってしまうようになるのも、幼い時に親からの強い指示に従うしかなかった親子関係が再現してしまうということだ。
そういえば、オウム真理教で学歴もあり、知識も豊富な人が麻原彰晃なる怪人にいいように操られて、やすやすと人を殺めていたのを思い出した。彼らの幼児体験を確認したわけではないが、どうして高等教育を受けて、あのような怪人に操られるのか理解できなかったが、これで分かったような気がする。
さらに言えば、虐待と、叱ることの差は微々たるもので、いずれにしろ、子どもは自分の自由な精神の発露を表現することを妨げられてしまう。また叱らないとしても、親のまなざしや暗黙の誘導が子どもに不安定な精神状態をもたらし、倒錯した性僻などに現れるそうだ。
だから、アリス・ミラーは子どもに対し以下の点に注意すべきだと言ってる。
1.子どもに敬意をもって接すること
2.子どもの権利を尊重すること
3.子どもの感情に寛容であること
4.子どもの行動から常に学ぶ用意があること
私は、息子に不安な人生を送ってもらいたくはない。だから、決して叱らないと決めて、本人の自由なる精神の成長を見守っていくことにした。そのためか、息子は私に全面的に信頼を寄せてくれ、自ら自由に学び始めた。ここ半年ほどでことわざや漢字を覚えて、分数の足し算、掛け算を理解した。通分は一回で覚えたのに、九九はちっとも覚えない。要するにむらがあって、学校ではついていけないと思った。
そうやって大事に育てた子どもを学校に行かせることで、教師に叱られたり、カリキュラムを強要されて、自由な精神の発露や自立への成長を妨げてもらいたくはないと思う。ゆえに、学校には行かせないことにした。
言葉
「私としては「教育」という言葉には全く何も肯定的意味も見いだせない。教育の中に見えるのは大人の側の自己防衛であり、大人が不自由であり、不確かであるがゆえに弄される策略ばかりです。」アリス・ミラー
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