ホームスクールを始めるにあたって関連本を探しました。必ずしもホームスクールがテーマではないが、流れを知る意味で載せた本もあります。
翻訳本
■教育のない学校--全米を席巻した衝撃の脱学校論 ★☆☆☆☆
カール・べライター
Must We Educate?
by Carl Bereiter
1975/8
ホームスクールの本というわけではありませんが、この時代としてはかなり先端的です。
私達は自分の子どもをどのように育てるかを決める権利を持っていますが、他人の子どもをいかに育てるかということを決める権利はありません。教師という職業だけがそれを認められていますが、それはとても奇妙だと書いています。
ベライターは学校を教育、訓練、世話と分けて考え、教育を不要であるとし、訓練はいわば自動車教習所の教官みたいな特定の技能の指導で、世話とは保育園の保母さんのような仕事だけをします。人格や知識は独習で学ぶべきだと主張しています。
少し読みにくいし、古いので読む必要はあまりないと思います。
■脱学校の世界 ★★★☆☆
イヴァン・イリッチ
De schooling Society
by Ivan Illich
1977/10
イリッチの名前と脱学校論はとても有名です。ホームスクールというより反学校で、学校がいかに不合理であるかを主張し、独学の勧めをしています。 学校の問題点を整理し理論武装するにはお勧めです。
■21世紀の教育よこんにちは--新しい脱学校論 ★★☆☆☆
ジョン・ホルト
Instead of Education 1976
by John Holt
1980/3
イリッチに影響を受けて、ホームスクールという考え方を示した。
「教師たちは子どもの依頼心を強め、不安を高める。そして、その依頼心や不安を解消するのはいかに難しいかと言っているだけなのだ。」
■魂の殺人-親は子どもに何をしたか ★★★★☆
アリス・ミラー
Am Anfang war Erziehung
by Alice Miller
親子の間の虐待の連鎖について書いた本ですが、学校というより教育そのものにも疑問を投げかけている。アリス・ミラーは教育という言葉には全く何の肯定的意味も見いだせないと主張しています。
私も親の虐待にあっているので、この本から染入るように大きな影響を受けました。感慨深い本です。
■なんで学校にやるの--アメリカのホームスクーリング運動 ★★★★★
ジョン・ホルト
Teach Your Own - A Hopeful Path for Education
by John Holt
1984/2
まさにホームスクールのバイブル的存在です。大部ですが、読みやすいので一気に読みました。 ホームスクーラーは一冊は持ってもいいと思います。ホルトはイリッチの影響を受けています。
■学習の戦略-子どもたちはいかに学ぶか ★☆☆☆☆
ジョン・ホルト
How Children Learn Revised Edition 1970
by John Holt
1987/6
ホルトの初作品
もし、この字は何と言い、あの字は何と言うのかと、絶えず子どもたちに質問し、直観に過度のプレッシャーをかけると、とかく、こうした直観に衝撃を与えて バラバラにし、子どもたちに、自分は何も分からないし、理解できず、自分たちが知識を持っているのに、私たち大人に頼らねばならないと信じ込ませてしまいがちです。
この本は日本では入手不可能になっています。図書館で頼めば出してくれるかもしれません。
■教室の戦略-子どもたちはどうして落ちこぼれるか ★☆☆☆☆
ジョン・ホルト
How Children Fail Revised Edition 1969
by John Holt
1987/6
生徒に対し行われたこと、そのすべては学校苦しく危険な場所と化すことだった。生徒の頭にあるのは、逃げることと身を守ることだけ。だからほとんどなにも学べないし、学んでも生かせないのである。
子どもたちが学校に行くことで落ちこぼれて行く理由を解説している。
■鎖のない学校--ある家族の独立宣言 ★★☆☆☆
ナンスィ・ワレス
Better Than School by Nancy Wallace Introduction
by John Holt
1990/2
アメリカの家族が二人の子供を家庭で育てた日常を書いている。ホームスクーラーは家庭ごとにやり方が全部違うので、あくまでも参考として読む分にはおもしろい。
序文にホルトが寄稿しているようにホルトとは親しい。
■楽園のつらい日々 ★★★☆☆
デビッド&ミッキ・コルファックス
Hard Times In Paradise
by David and Micki Colfax
大学で教えていたコルファックスとその一家がカルフォルニアの山中に暮らしながら、二人の実子と二人の養子を育てて、3人がハーバード大に、一人は音楽家にしたホームスクールの実践記録である。
人気のない山中で、家族一丸となって生活を切り開く苦闘と、それが子どもに最高の教育の場を与えたと感じた一冊であった。
■学校は義務じゃない--イギリスのホーム・エデュケーション実践の手引 ★☆☆☆☆
エデュケーション・アザワイズ
School is not compulsory
by education otherwise
1997/4
イギリスの場合のホームスクールの進め方を書いていて、日本との違いが大きい。また出版の時期も違うので今読む必要はないと思う。
■ホームスクールの時代--学校に行かない選択:アメリカの実践 ★☆☆☆☆
マラリー・メイベリー他
Home Schooling:Parent as Educators
by Maralee Maybery,J.Gary Knowles,Brian Ray,Stacey Marlow
1997/9
1990年代にワシントン州、ユタ州、ネバダ州のホームスクーラー相手の調査の結果をまとめたもの。
■Q&A たのしいホームスクール--学校・不登校・フリースクールではない第4の選択 ★☆☆☆☆
リンダ・ドブソン
The Homeschooling Book of Answers
by Linda Dobson
2000/2
はじめに相澤恭子氏と津田玄児氏の対談があり、そのあと多くの人たちが質問に対して、答えています。ホームスクールに疑問を持つ人は読むといいかもしれません。
■義務教育という病--イギリスからの警告 ★★☆☆☆
クリス・シュート
Compulsory Schooling Disease:How children absorb fascist values
by Chris Shute
2003/2
イギリスの元教師のシュートが教育の現場で苦労してきて、ジョン・ホルトの影響でホームスクールに目覚める家庭と、実践例を説明しています。
■バカを作る学校--義務教育には秘密がある ★★★★☆
ジョン・テイラー・ガット
Dumbing Us Down The Hidden Curriculum of Compulsory Schooling
by John Taylor Gatto
2006/9
この本がホームスクールという考え方に図書館で出会った最初の本です。それまでは学校へは行くものだと思っていました。衝撃でした。図書館で2回借りて読み、蔵書にするため購入しました。
ニューヨーク市1990年最優秀教師の元教師のガットが学校が「読み書き計算なら百時間で学べるのに、学校は12年間も拘束して、1.一貫性の無さ、2.クラス分け、3.無関心、4.感情依存、5.知的依存、6.条件付き自尊心、7.監視の7つの教育方針で子どもの肉体、道徳、知性を麻痺させ、取り返しのつかない恐ろしい影響を与え続けている。」と語っています。
■ちょっぴりホームスクーリング考えています?--15家族があなたにできる方法伝えます ★★★☆☆
リサ・ウェルチェル
So You're Thinking About Homeschooling?
by Lisa Whelchel
2006/12
実際にホームスクールをしている家庭に訪問して会話をしているように勉強の状況や家庭の雰囲気を伝えてくれる。色々な家庭があり、色々なホームスクールがあることが分かります。
■ホームスクーリングに学ぶ ★★☆☆☆
リンダ・ドブソン
What the Rest of Us Can Learn from Homeschooling
by Linda Dobson
2008/7
ホームスクールを行っている親が公立などの学校に行っている子どもの親たちに、ホームスクールでやっている学習方法を取り入れることで優れた効果が上がるとして、具体的な勉強方法を書いています。
この中でおもしろいと思ったこと。"考え事をするとき口に出して考える"ようにすると、子どもたちはそれに関与してきてくれる。
ここに書いてある感想や★の数はあくまで私の感想です。今回は私が読んだ翻訳本ですが、邦書も何冊かあります。機会があれば投稿したいと思います。
9 件のコメント:
たくさん!
ちゃんと★の評価付き!
同じ作者でも、評価が付いていると
まずはこれを読んでみようと選びやすいですね。
日本語訳のものはすぐに手に入らないので、『英語の勉強』と思ってこちらの図書館で借りてみます。
本当にたくさん!
ホルトの本は、たぶん主人の本棚に何冊かあったので読んでみようと思います。
今まで知らなかった本もたくさんあるので、また図書館に行く楽しみが増えました♪ありがとうございます。
Mikanさん、chibimikan71さん
コメントありがとうございます。
私が日本で入手できるホームスクールの翻訳本はこれでほとんどじゃないかなと思っています。これ以外にご存知でしたらホームスクールクラブでご紹介いただけると嬉しいですね。
アメリカでホームスクーラーのマガジンが出ているそうですが、日本ではどうも入手ができません。何かご存知でしたら教えてください。
日本語訳本の入手が難しいと言うのは時間若しくは費用がかかると言う意味でしょうか。邦書も同じですか。
ジョン・テイラー・ガット
彼の本は英語の言い回しが、"私には"難しいので日本語があるなんて、うれしいです!雑誌、チェックしてみますね。図書館で見たことがあるような気がします。
Homeschooling Today Magazine Subscription Homeschooling Today http://amzn.com/B00007AXW4
こんな感じの雑誌が3種類くらいでていますね。私が数年前に図書館で見たのは、カリキュラムの広告が多かったです。
友人たちに人気なのはやはり、ジョンホルトとガトーです。
Mikanちゃんが、お勧めビデオ、本、絵本をオーガナイズしてくれているので感謝です。
銀龍さん
ありがとうございます。早速日本で入手可能か調べてみます。
皆さん、ホームスクール関係の本を色々と読んでいるんですね。
なんとな~くでアンスクール/ホームスクールを始めて、なんとな~くでここまで来てしまったので、知らない事がたくさんです。
日本語の本は今住んでいるところではまず手に入りません。インターネットでの購入はもちろん可能です。でも、欲しい本がある時は実家の母に頼んで送ってもらっています。
日本でも、どんどん電子書籍化をしてくれると良いのですが。
本を読むスピードはかなり遅いので、2,3ヶ月に1冊のスピードで少しずつ読んでいこうと思います。
この間、図書館のサイトで「unschool」と入力したら、検索結果0でした。
でも、こうやってタイトルがちゃんと分かっていると探しやすくて助かります!
Home Education Magazine: http://amzn.com/B00006KH4G:tomodachi no osusume
watashi mo mitemimasu
nihongo kakenakute gomen nasai
Ginryu
銀龍さん
引っ越しは終わりましたか。ネットがつながらないようですね。
妻を見ているといつも引っ越しから1週間は収拾が取れなくて苦労していました。(人ごとみたいだけど ^_^;)
色々と大変でしょうが、落ち着いてからコメントください。
コメントを投稿