学校に行かず発明続ける
「学歴なし」「就職歴なし」。道脇裕氏 NejiLaw代表取締役誕生から二千年以上の歴史を持つ「ねじ」は、史上最も普及している工業品といわれている。
そのねじはいくら締めておいても何年かすると間違えなく緩む。
しかし道脇氏は19歳のころ、ねじが原因で自分の運転する車のタイヤが外れたことから、緩まないねじが作れるはずだと、ひらめき、そこにこだわった。
ねじの締める力を強くするには、ボルトとナットなど互いのらせん構造を精密に作り込み摩擦力を強くすることが研究者やねじ業界の常識だ。それは今も変わらない。 これまでも「緩まない」を標榜するねじはある。
だが、道脇氏は既存の商品は締め付ける摩擦力に頼る「緩みにくい」ねじだったとみていた。そこで、らせん構造そのものにメスを入れ、摩擦に依存しない「緩まない」ねじを実現しようとした。
NejiLawの主力品である「L/Rネジ」のボルトには、右回りで締めるナットと左回りのナット、両方に対応した山が作り込まれている。2つのナットは同じ動きはしない。互いがぶつかると、相手をロックすることで緩みを封じる。 道脇氏はねじの山の形を変えることで、用途に応じた緩まないねじを次々と発案した。
機械工学の専門家に話をすると「これは理論的に不可能だ」と言われたが、やめなかった。
写真は紙粘土で作った第1号のネジ模型
L/Rネジの開発途上だった4年ほど前、米航空宇宙規格(NAS)に準拠した試験をすると、合格ラインの17分間まったく緩まなかった。それどころか、3時間ほどたつと試験装置のねじが壊れた。緩まぬねじの評判はたちまち広まった。
このねじは現在、橋梁やメガネのボルトに使われようとしていて事業を展開始めている。
道脇氏は10歳ごろに「僕は今の教育システムに疑問を感じるので、自分の足で歩むことに決めました」と言って勝手に小学校をやめて、漁師、とび職など様々な仕事を経験した。
携帯電話が広まる前から、無線機を使って双方向で同時通話できるシステムを作るなど、発明を続けた。米国に渡って学んだこともある。
学校は必要ない
道脇氏は教育システムのどこに疑問を持ったかまでは語っていないが、決まりきった常識を教われば教わるほど無駄な知識が増えて、自分のやるべきことが見えなくなると思ったんだろう。私自身も振り返るとねじと言うものはこうなっているモノだという常識にとらわれていて、それが改良できるものと言う意識は全くなかった。想像力は学校でつぶされたんだ。
でも、小学校4年ぐらいでそんなことに気づくこと自体が天才かもしれない。
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